
お茶と私と、クラシック
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お茶とクラシック音楽が誘う心の浄化法
「心に余白、ありますか?」
皆様は何も考えず、静かに過ごす時間。そんな“心の余白”を、皆さんは持てていますか?
忙しい日々の中では、心を休める余裕もなく、気づけば1日が終わっている…そんな毎日を繰り返していませんか?疲れがたまると、心も体もオーバーヒートしてしまいます。
そんな時は、ほんの少し立ち止まり、自分のための休憩時間を持つことが大切です。おすすめは、「お茶」と「クラシック音楽」の組み合わせ。
静かな音楽と温かいお茶が、心にやさしく余白を作り、気持ちをそっと整えてくれます。
この記事では、心を浄化するようなクラシック音楽と、ティータイムの楽しみ方をご紹介します。ぜひご覧ください。
クラシック音楽が、心と体に効く理由
カフェで流れるクラシック音楽に、ふと心が落ち着いた経験はありませんか?
私たちの脳は耳から入る音にも敏感で、やさしい音楽や自然の音を聴くことで、リラックスや幸福感をもたらす脳内物質(ドーパミン、セロトニンなど)が分泌されることがわかっています。
クラシック音楽は、脳のアルファ波を促し、自律神経を整えたり、不安や痛みを和らげたり、睡眠や集中力を改善する効果があると言われています。特に、季節の変わり目やストレスの多い時期には、こうした働きがとても大切です。
また、クラシック音楽は人だけでなく、植物にも良い影響を与えることがわかっています。実際、音楽を聴かせて育てる「音響栽培」で、栄養価の高い野菜が育つこともあるのです。
もし心に余裕がなくなってきたと感じたら、少し立ち止まり、お茶を淹れて、静かなクラシック音楽を流してみてください。
その優しい時間が、心と体をゆっくりと整えてくれるはずです。
心の浄化におすすめのクラシック音楽7選
1.一日を爽やかにスタートさせたい時や目覚めの悪い朝に
フェリックス・メンデルスゾーン:無言歌集 第5巻 「春の歌」
Op.62-6U 161 イ長調
春の歓びを謳う様な、優雅でのびやかな旋律が特徴。幸福感に溢れた一曲なので、爽やかな朝におすすめの曲。目覚めの悪い朝や一日を明るい気持ちでスタートさせたい時に流してみてはいかがでしょうか。軽やかな風に気持ちをそっと乗せられる、そんな気持ちにさせてくれる作品です。例えば合わせたいのは、清々しく静謐な面持ちの緑茶。その冴えた色と香りに背中を押されて、昨日の嫌な出来事も、今日の不安な気持ちも、きっと洗い流してくれるでしょう。
2.お茶を用意するひとときや一人の時間を大切にしたい時に
エドワード・マクダウェル:森のスケッチ「野ばらによす」
Op.51-1
19世紀末のアメリカ・ロマン主義音楽の作曲家の小品。題名の通り、野薔薇の様に可愛らしく、可憐な曲です。とても穏やかな曲調のこの曲は、お茶を用意する時間におすすめの作品。お茶は、その準備をする手間も楽しみのひとつ。例えば、茶葉を急須やティーポットに入れる時に、新鮮な葉の香りを感じてみたり、お湯が沸く音や注がれる音に耳を澄ませてみたり。また、茶葉が広がるのを待つ時間に砂時計を使ってみるのもよいでしょう。そして、カップにお茶を淹れた時の、立ち上る湯気をゆっくりと眺めるのも、心がリラックスできるのではないでしょうか。
自分のためにお茶を淹れる。最後の一しずくまで、大切に淹れる。そんなささやかなひとときの為に、是非聴いていただきたい曲です。お気に入りの本をそばにおいて、じっくりとティータイムを過ごすのも良いでしょう。きっと心を和ませてくれるはず。
3.五感をリフレッシュしたい時やプレッシャーを感じている時に
フレデリック・ショパン:ピアノ協奏曲第1番第2楽章「ロマンス」
Op.11 ホ長調
ショパンが20歳の時に作曲した2つのピアノコンチェルトのうちのひとつ。繊細で時に情熱的な旋律は、春の憂いや懐かしさを感じさせます。ショパンはこの曲について、「美しい春の夜の月光を浴びながら瞑想する様なもの」という言葉を手紙の中で使っています。夜の帷が降りた心地よさの中で、月光を浴びながら五感を解放させてみてはいかがでしょう。例えば夜のリラックスタイムに合うのは、カフェインレスのほうじ茶やハーブのホットティー。特にカモミールティーは精神を落ち着ける作用があるのでおすすめ。(妊娠中の方は控えた方が無難です)体も心も温まり、心地良い睡眠へと誘ってくれるでしょう。
4.昼下がりの午後や予定が何もない日の休憩時間に
クロード・ドビュッシー:プレリュード集 第1巻より 第8曲「亜麻色の髪の乙女」
変ト長調
ドビュッシーがフランスの詩人、ルコント・ド・リールの「スコットランドの歌」をモチーフに書いた曲。短い曲ではありますが、休憩したくなる昼下がりの午後におすすめの曲です。とっておきの美味しいお菓子や、自分用にもとめたちょっと贅沢なお茶を用意して、お茶の時間を特別な余白時間に変えてみては。柔らかで落ち着いた曲調が心を静かにしてくれるでしょう。耳から入る 音の響きを大切にして自らの音楽を求めたドビュッシーの作品は、絵画的であると言われます。時には私達も彼の様に、湧き上がる感性に耳を傾けてみてはいかがでしょう。今日という一日に感じた事を日記に綴ったり、普段は目にしない夕焼け空を眺めてみたり。心も整い、晴れやかな明日を迎えられるのではないでしょうか。
5.気分転換したい時や新しいことを始める時に
カミーユ・サン=サーンス:動物の謝肉祭より「白鳥」
流れる様な気品ある旋律に心が解き放たれる曲です。元々はチェロとピアノの為に書かれた曲ですが、ヴァイオリンやフルートによる演奏もされています。
終始滑らかに奏されるフレーズは、どこまでも続く明るい夢を想起させ、新たな自分の可能性を信じる勇気を与えてくれる作品です。
ティータイム、そんな気分に寄り添ってくれるのは、出来上がったばかりの清々しい新茶や爽やかな香りのダージリンファーストフラッシュ。優雅な白鳥をイメージして、ティーセットを白一色に統一してみるのもおすすめ。真新しく、清々しい気持ちに出会えるかもしれません。
6.心が固くなっていると感じた時や感情がうまく出せない時に
ジュール・マスネ:タイスの瞑想曲
オペラの一幕の合間、タイスという女性が欲望に溢れた生活を捨て、修道院に入ろうとするシーンで奏でられる曲。
理屈ではなく、ただシンプルに「美しい」と思えるその甘美な調べは、まるで子どもの頃に戻った様に心へと素直に響いてきます。何もかも忘れて、「感動する事」を大切にしてみると、再び心が耕され、やがて希望の種が育っていくもの。心がほぐれない時は、焦らずにまずは深呼吸をする事が大切です。
お茶を合わせるなら、おすすめは香りの効いたフレーバーティー。香りは嗅覚から直接脳へと届いて気持ちをほぐしたり、気分を明るくする効果があるので、ストレスで凝り固まってしまった状態にも即効性があります。緑茶や紅茶の中にも、最近では趣向を凝らしたワクワクする様な品揃えも多いので、皆様も是非、お茶の時間にお試しいただければと思います。
7.気持ちを浄化したい時や自分のペースを取り戻したい時
ヨハン・パッヘルベル:「カノン」
「カノン」とは音楽用語の事で、日本でいう輪唱の様なもの。一つのフレーズを追いかけて演奏するというその構成によって、大変耳心地が良く、自然と心が整っていく作品だと言えます。
教会のオルガニストだったパッヘルベル。曲の成り立ちは不明ですが、神聖で崇高な面持ちのカノンは何かを祈る様にメロディーが重なっていき、聞き終わった時、不思議と心が洗われた感覚を覚えます。雨上がりのごとくしんと静まる心の情景に似合うのは、凛とした佇まいの薄茶。お抹茶と茶筅と器があれば、自宅でも気軽にお点前を楽しむことができます。お作法は知らなくても、自分や大切な人を慈しみながら点てたお茶は、どんなものにも勝るとも劣らない、価値のある一服に違いないでしょう。それこそ、自分を取り戻す為の作法、「儀式」の様なものではないでしょうか。自然と背筋も伸びて、心に静寂の訪れを感じられるでしょう。
まとめ
忙しい毎日を過ごす中で、気がつけば溜まってしまう心のモヤモヤ。なぜだかそんなモヤモヤは溜まりやすく、排出しにくいのが困ったところ。心と体は結びついているから、どちらか片方が調子が悪いと、歯車は上手く回ってくれません。
その様な悪循環に別れを告げて、明日を元気に迎える為にも、心を整える「浄化時間」を日常の中に取り入れてみると、徐々にいつもとは違う調子の良い自分に出会える様になるはずです。忙しくて時間が取れない、という方でも、ほんの少し、例えば5分だけでも「この5分は自分の時間」と決めてリラックスのひとときを過ごす事によって、その時間が大きな意味のあるものになって返ってくるでしょう。
心を浄化し、余白を作る事は心に栄養を与える土作りのようなもの。
この機会に、お茶とクラシック音楽の浄化法をお試しいただき、皆様の美しい花を咲かせてみてはいかがでしょうか。