波の音を聞きながら、お茶を淹れる。はじめての『チェアリング』で感じたこと
「ソファに座ってスマホを眺めているだけなのに、かえって疲れてしまう」そんな風に感じたことはありませんか?
私自身、家で過ごす休日は、スマホを見たり家事をしたり。休んでいるようで、頭の中は意外と動きっぱなしです。
そんな私がこの夏出会った、チェアリングという過ごし方を、皆さんにお伝えしていきます。
アウトドアはしたい。でも、本格的なのはちょっと違う

図書館に通って、ネットで検索して
私は、いわゆる極度のインドア派です。
外に出かけるとしても、図書館や道の駅に足を運ぶ程度。キャンプや登山といった本格的なアウトドアには全く縁がありませんでした。
そんな私がこの夏、外で過ごしたいと思ったきっかけは「いつもとは違う新しい場所で、休日を楽しみたい」という気持ちが芽生えたからです。
「本格的なアウトドアじゃない、初心者向けのものはないかな?」
それを調べるために、すっかり常連になっている図書館から、アウトドアの本をいくつか借りてきました。
けれど、どうもしっくりきません。
ネットで「ゆるいアウトドア」と検索してみると、低山ハイキングやロッジ宿泊などがヒットしました。でも、私にとっては、これも十分立派なアウトドアです。
「これだ!」と思ったチェアリング
「もう少しだけ、ゆるいものはないのかな・・・」
諦めずに検索を続けていると「チェアリング」という文字が目に入りました。
調べてみると「椅子に座るだけのお手軽アウトドア」といった紹介がたくさん出てきます。
「これだ!私が求めていたものは!」そんな喜びが半分。
「いや、簡単すぎて、すぐ飽きちゃったりして・・・」という不安が半分。
とはいえ、椅子に座るだけなら失敗しても大したことはありません。
「とりあえず1回やってみよう」そんな軽い気持ちで、私のチェアリングが決まりました。
それっぽい道具は、何ひとつ持っていない

お天気次第のアウトドア
チェアリングをする日は、大まかには決めていました。ただ、この暑さ、そして不安定なお天気が続いていたこともあり、正式に出発を決めたのは1日前のことです。
「アウトドアを計画するのって、本当に大変なんだな」
椅子に座って過ごすだけとはいえ、やはり外で楽しむ以上、天候に左右されることを知りました。
そして、チェアリングが自分に合うのかも、実際にやってみなければ分かりません。
これまでの私は、準備だけで満足してしまい「やっぱり、試してみたら違った」という失敗を繰り返してきました。
家にあるもので、とりあえずやってみる
だから今回は、できるだけ身近なものだけで挑戦してみることに。
椅子は実家から借りました。いわゆるキャンプ用のマグカップも持っていないので、家で眠っていたホーローのマグカップを引っ張り出します。
「カップを置く台は・・・プラスチックの踏み台でいいか」
おしゃれではないけれど、これでいい。
チェアリングしていたら、浮かない?
もう1つ、気になったことがあります。
周りにいる人はアウトドアに慣れているのに、自分たちだけ椅子に座ってのんびりしていて大丈夫なのか。
外にいる人たちの雰囲気が分からなかったため、場違いにならないか少し心配になりました。
「でも、家族も一緒だし、誰もそんなこと気にしないはず!」
そう自分を納得させて、出発の準備を整えました。
朝7時、いざ出発

目的地は、景色より「虫の少なさ」で決めた
朝7時に出発して、およそ1時間。
今回私がチェアリングの地として選んだのは、福島県にある、猪苗代湖(いなわしろこ)の南岸に位置する秋山浜(あきやまはま)です。
山ではなく水辺の場所を選んだのは、景色が素敵だから・・・本当は、そうお伝えしたいところですが、1番の理由は「山よりも、虫が少なそうだから」でした。
私の虫の苦手ぶりは、家族を困惑させるほど。せっかくの自然というのに、恐怖で楽しめなくなるのは避けたかったのです。
ほどよい人の気配がちょうどいい
お盆の期間だったということもあって、到着すると、ほどよい人の多さを感じました。
「人が少なすぎるのも寂しいし、気軽な雰囲気で楽しめそう」それが、第一印象でした。
波の音を聞きながら、お茶を淹れる

まずは、虫がいないかを確認
虫はゼロとまではいきませんが、私の予想は見事に的中。飛んでいるトンボくらいなら、平気です。
そんなわけで、居心地のよい空間のなか、いよいよチェアリングをスタートすることができました。
踏み台の上にマグカップを置き、アウトドアといえばコーヒー・・・ではなく、私が取り出したのは「緑茶」です。
もちろん、水筒に直接お茶を入れて持っていくこともできますし、ペットボトルのお茶でも十分かもしれません。
でも、せっかくなら、ちょっとくらい「イベント」があったほうが面白い。
そう思って、お湯を入れた水筒、一煎分の緑茶、お茶用ドリップバッグを用意しました。

波の音をBGMにして、お茶を淹れるという贅沢
波の音。遠くから聞こえてくるセミの声。
そんな自然の音を聞きながら、ゆっくりとお茶を淹れていきます。
「波の音をBGMにお茶を淹れるなんて、なんて贅沢なの・・・!」
日頃から環境音をYouTubeで聴くこともありますが、録音された音と、今ここで実際に聴いている音とでは、やっぱり全然違います。

お茶って、こんなに美味しかったっけ?
そして、完成したお茶を一口。
真っ先に感じたのは「お茶って、こんなに美味しかったっけ?」ということでした。
普段なら、家でお茶を淹れても、スマホを見ながら、何か別のことをしながら飲んでいました。
でも、この日は違ったのです。
「せっかくこの空間にいるのだから、最後まで大事に飲み切りたい」と、自然とお茶だけに意識が向いていました。
味そのものだけでは、この美味しさにはたどり着かないと思います。
波の音、心地よい風、開放的な景色、そして外でお茶を淹れるという行為。
これらが欠けることなく重なったことで、いつものお茶が、いつもとは違う一杯になったのでしょう。
イヤホンを持ってきたのに、使わなかった

「やることがなくなる」と思っていた
「お茶を飲んだら、やることがなくなるだろう」と思っていた私は、音楽を聴こうとイヤホンを持ってきていました。
けれど、その予想は、いい意味で裏切られていきます。
波の音やセミの音に耳を澄ましているだけで、もう十分でした。
みんな、それぞれの時間を過ごしている
ふと周りを見渡すと、ボートに乗る人、ハンモックで過ごす人、散歩する人、まだ寝ている人。みんな、それぞれのやり方で、その人だけの時間を楽しんでいます。
きっと、そんな雰囲気も手伝って、私も「何かをしなくていい」と思えたのでしょう。
「30分くらいかな」と思ったら、1時間30分
「30分くらい経ったかな?」そう思って時計を確認すると、1時間30分が過ぎていました。
何かをして時間を埋めなくても、そこにいるだけでちゃんと楽しめることに気づかされました。
ここにいる私も、この場所をつくる1人

お気に入りの景色を探していたら
ときどき座る方向を変えながら、お気に入りの景色を探していました。
私がいた周りには、ゴミが1つも落ちていませんでした。
心地よさは、自然だけではつくれない
そのときに、気づいたんです。
心地よい空間は、もともとある自然だけで完成しているわけではありません。
ゴミを持ち帰ったり、周りの人に配慮したり、ルールを守ったりしているからこそ、今この場所を気持ちよく楽しめているのだと思います。
「自然を楽しませてもらうだけではなく、自分自身もこの空間を守る1人なんだな」
そんなことを、椅子に座りながら考えました。
気づいたら、休憩できていた

椅子に座って、お茶を淹れて、波の音を聞いている。
それだけなのに、気づけば1時間30分。
「休憩しよう」と頑張らなくても、自然と休めていたことが、今回1番意外だったことです。
私にとってチェアリングは、気づいたら休憩できているもの。
今度は、もう少し近所でもやってみたいなと思います。
関連記事:チェアリングのススメ
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