読む日も、読まない日も。本とお茶のある暮らし

本を読むとき、その傍らにはお茶があるような気がします。
全然ページは進んでいないのに、気づいたらコップが空になっている日もあれば、本に夢中になりすぎて、お茶が冷めてしまう日も。
この記事では、そんな本とお茶との距離感について、日々の暮らしを振り返りながら綴ります。
本の読み方は、意外と自由

読みたいのに、読めなかった
図書館から借りてきた何冊もの本、楽しみに購入したはずの新刊…。
机の上に積み重ね「今日こそ読もう!」と決心しても、結局読めなかった。私には、そんな経験が山ほどあります。
ここ2年ほど、月に2回は図書館に通い、毎回目一杯借りています。小説やエッセイ、初心者でも読みやすい専門書など、ジャンルはさまざまです。
返すときに、少しだけ罪悪感
返却期限は2週間。「これも、あれも気になる!」と、図書館にいるときは次々に手が伸びるのですが、いざ家に持ち帰ると「まだ日にちはあるし、ゆっくり読もう」と、つい後回しにしてしまうのです。
そうしているうちに平日は仕事中心に、休日は外出続き。2週間なんてあっという間に過ぎていきます。
すべての本に目を通せる週もあります。でも大半は、半分以上が読み切れないまま返却日を迎えてしまう...。
特に、人気の本は、次に借りたい人が待っていることもあります。
「私よりも、ちゃんと読んでくれる人がいたかもしれないのに...」そう考えると、余計にモヤモヤが募っていました。

読み切ることだけが、読書じゃない
でも、いつからか、少しずつ考え方が変わってきました。
夫の影響も大きいのかもしれません。「目次を見て、読みたいページだけ開いてるよ〜」と、ごく当たり前のようにいわれたとき、ふっと肩の力が抜けた気がしました。
本との距離感は、いつも同じでなくていい。読み切ることだけが、読書の楽しみではないのかもしれないと考えるようになったのです。
読めなかった本にも、ご縁がまたやってくるかも
なんとなく興味が持てずに読むのをやめてしまう本もあれば、そのときの自分には、読むのがつらい本もあります。
スタッフのひとりにも、そんな経験がありました。
好きな著者が書いた恋愛小説を手に取ったそうです。ところが、当時は失恋したばかり。
心にぽっかり穴が空いたような気持ちのなかで、恋の物語を読むのがつらくなり、途中で読むのをやめてしまいました。
それから時がたち、今のご主人と出会ったころに、もう一度その本を開いてみることに。すると、あのときは進まなかった物語が、すっと心に入ってくるように読めたそうです。
今はまだしっくりこない一冊も、いつか楽しめる日がやってくるかもしれません。
本のそばには、お茶がある

読書のスタイルも、いろいろ
本を手に取る気持ちが変わってきたころ、読書のスタイルにもいろいろな呼び名があることを知りました。
買った本を読まずに積み上げておく「積読(つんどく)」、一度読んだ本を読み直す「再読(さいどく)」、同時に何冊かの本を読む「並行読み」など。
どれも呼び名を知る前から、私も自然とやっていた読書法です。

その日の気分で、本とお茶を組み合わせる
思い返せば、どんな読書時間にも、お茶がそばにあります。
新しく買った雑誌を気軽にめくるときには、熱々の麦茶をマグカップにたっぷりと。美味しそうな料理に目が留まり、次に食べたいものリストに追加することも。
2、3年前から読み返しているお気に入りのエッセイには、香り豊かな紅茶を淹れてみる。好きな文章に触れながら、心を落ち着かせます。
図書館から借りてきた本をつまみ読みしたいときには、緑茶を2煎、3煎と楽しむのもいいものですね。ジャンルの違う本を行き来しながら、思い思いの時間を過ごします。
私は、こんなイメージで本とお茶を組み合わせる日もあります。
本を選ぶようにお茶を選び、気づけば自分の世界に没頭している。ときには、お茶が冷めてしまうほど夢中になることも。そんな自由な時間もまた、何気ない日常のなかにある贅沢なひとときです。
本を開く前に、お茶を淹れる
読書に向けて、気持ちを切り替える
読書は、本を開く前から始まっているのかもしれません。
スマートフォンなら、何気なく画面を開くだけで、次々と情報が目に入ってきます。
一方、本は自分でページをめくり、自分のペースで読み進めていくもの。だからこそ、落ち着いて本に向き合う時間をつくりたいと思うのでしょう。
これから読む一冊に集中するために、気持ちを自分の内側へ切り替える。私にとっての小さなスイッチは、お茶を淹れることです。
お茶がちょうどいい温度になるまで
茶葉を急須に入れ、お湯を注いだら、すぐに飲むのではなく、あえてちょうどいい温度になるまで待ちます。
熱すぎると、なかなか口をつけられません。かといって、冷めすぎると、今度はあっという間に飲み終えてしまう。それもちょっともったいない気がするのです。
とにかくすぐに読書を始めたい気分の日もあります。
そんなときは、やかんいっぱいに沸かした麦茶の出番です。あらかじめたっぷり用意しておけば、ケトルでお湯を沸かし直すために席を立つ必要もなく、より本の世界に没入できます。
読書に集中するための、ちょっとした工夫
ほかのスタッフにも、本を読む前にしていることを聞いてみました。
・机の上を片づける
・パソコンの画面を消し、周りの音を静かにする
・足を伸ばして、背もたれに体を預ける
皆、それぞれの方法で読書に向かう準備をしているようです。
本を開く前の、ほんの少しの準備。心地よく本に向き合えるように環境を整えることも、読書の醍醐味なのかもしれません。
この秋、読んでみた本
好きな著者の言葉に、もう一度出会う
10月27日からは、秋の読書週間が始まるそうです。私はというと、一足先に、ひとり読書週間を楽しんでいます。
秋の読書週間とは
公益社団法人 読書推進運動協議会が主催している取り組み。
読書に親しむきっかけを広げることを目的にしており、開催期間は毎年10月27日から11月9日に制定されているとのこと。
読んでみた一冊
読んでみた本の一冊が、今年の8月に発売された「失くしても、また」。
以前から、小手鞠さんのエッセイを通して、著者の言葉に出会う楽しさを知った私。直接語りかけられているようで、読むたびに優しい気持ちになれるんです。
ネット通販なら発売日に届くことは分かっていましたが、自分で本を見つける感覚をどうしても味わいたくて、お気に入りの書店へ出向いて購入しました。
淡いミントグリーンに、かわいい猫のイラスト。そんな表紙を目印に本を手に取りました。以前、友人が「表紙も本を選ぶ基準になるよね」と、話していたことを思い出します。
余韻が続く物語
10の物語を読んで感じたのは、大切な存在が亡くなっても、目に見えなくなっても、そのつながりに終わりがくるわけではないということ。
読み終えた今も、物語から受け取ったものが、心のどこかに静かに残り続けています。
どうすれば、このご縁が途切れずにいられたのだろう。
自分に何かできることがあったのかもしれない。大切な存在との別れに後悔を感じている人にも、そっと響くものがありそうです。
おまけに、お茶の話

YOGŪでは、記事から抜粋した読み切りのお話「sawatashi(茶話渡)」を、お渡ししています。
せわしない日々に、ほんの少しの小休止を。
お茶を一服するように、ゆっくりと読んでいただけたら。
一枚の紙を通して、休憩へと手招きします。
お茶だけ飲んで終わる日があっていい
読書をしていると、何気なく読んだ一文に、はっとさせられることがあります。途中で読むのをやめてしまったとしても、ときどき心に響く言葉に出会えるだけで、十分なのかもしれません。
好きなお茶を淹れて、マイペースに本をめくるうちに、自分自身の今に目が向いていきます。
本が読めない日も、一杯のお茶を飲んで、ひと呼吸。そんなささやかなひとときも、大事にしていきたいものです。
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