すぐに答えが出る毎日に、あえて「待つ時間」をつくる

待つのって難しいですよね。
「この時間、もったいないな ・・・」とついスマホを見たり、すぐに答えを検索したり。
その方が効率的だと思っていた私ですが、いつの間にか、何もしない時間まで落ち着かなくなっていることに気づきました。
そこで、我慢とは違う「自分のための待つ時間」をつくってみることに。
あなたは、自分を待ってあげていますか?
待ち時間、すぐにスマホを見てしまう

もしかして私は、待つ時間を自分自身で苦しくしているのかもしれない。
そう感じたのは、先日、自分の性格と正反対な母と、久しぶりにランチをしたときのことでした。
待てない父と、のんびりな母との間に生まれ、性格の9割が父に似ていると自負しています。
料理を受け取る順番を待っている間、私は会話を楽しみつつも、ついスマホを見てしまいます。
けれど、母は店員さんのテキパキとした仕事ぶりや、コラボ中のキャラクターのイラストを熱心に眺めていました。
「ねぇ〇〇、ここの店員さんのオペレーションってすごいね!」
そう言われて初めて、私も店内をしっかりと見渡しました。
同じ「待つ時間」なのに、母と私とでは、見えているものが全然違ったんです。
私は、スマホを見ながらやり過ごしていた。
一方の母は、今この瞬間に向き合っていたのです。
「待てない」の正体

そういえば、私はいつも「待ち時間」にスマホを見ていました。
パソコンで作業をして、ダウンロードを待っているとき。
煮込み料理で、台所に立っているとき。
ほんの数分でも時間が空けば、スマホを手に取っています。
母と私とでは、性格が違う。もちろん、それもあるでしょう。
でも、ランチの日をきっかけに振り返ってみると、それだけではないような気がしてきました。
私はその場にいるのに、目の前を見ていなかったんです。
いつも、何かに身構えていた

スマホで、ただネットサーフィンをしていただけのときもあります。
でも、私の場合は「誰かから連絡がきていないか」を確認するために開いていたというのも、大きかったのかもしれません。
仕事の連絡がきているかもしれないし、家族から帰宅のLINEがあるかもしれない。
友人から予定の返事がくるかもしれない。
平日に外に出ると、余計に意識してしまっていました。
「何かきたら、すぐに返さなくちゃ」そんなふうに、いつも少し身構えていた気がします。
仕事柄、目の前にはいない誰かと、パソコンやスマホを通してつながっている時間が長い私。
だからこそ「今は休憩中だから」と完全に切り離すことができず、どこかに小さな責任感を抱えていたのかもしれません。
連絡そのものを待っていただけではありません。
「いつでも応えられる自分」でいようとしていたのだと思います。
お茶を淹れる時間は別物

ですが、お茶を淹れている時間にかぎっては、そんなことを考えずにいられました。
お湯が沸くまで、ケトルの音を聞きながらぼんやり過ごす時間。
湯冷ましをしながら、お気に入りの茶器を選ぶ時間。
お湯を注ぎ、茶葉がゆっくり開いていく様子を眺める時間・・・。
お茶を飲むまでにも、いくつもの時間が流れているはずなのに、なぜか焦りません。
実際には10分ほど時間が経っているのですが、待たされているという感覚がないので、体感では半分ぐらい。もう少し余韻を楽しみたいと思うほど、あっという間に過ぎることもあります。
お茶に関する発信をするなかで、自然とお茶に気持ちを集中させる習慣がついていたこともあったのだと思います。
その間だけは「このスキマ時間に何かしなきゃ」と考えず、ただお茶ができるのを待っていられるんです。

お茶は、待つ時間も味の一部です。
温かいお茶は、少し冷ましたお湯を入れるか、熱湯のまま注ぐかで、口当たりが変わっていきます。
水出し茶も、じっくり時間をかけて抽出するからこそ、まろやかな味わいになります。
「待つことで、逆にいいものに出会えている」ということでしょうか。
「待っていてよかったこと」を聞いてみた

身近な人にも「待っていてよかったこと」を聞いてみました。
2歳のお子さんがいるYOGŪのスタッフのお話。
保育園の登園前に、お子さんが自分で靴を履きたがる様子を見せたのだとか。
ドタバタな朝。時間がかかるのは目に見えていたので、これまでは手を差し伸べていたそうです。
でもある日「ちょっと待ってみよう」と見守ってみたところ、自分で靴を履くことができました。
誇らしげで嬉しそうな笑顔。
できたことはもちろん、お子さんが喜んでいる姿を見て、スタッフ自身もハッピーな気持ちになったそうです。
話を聞いて、待つって、いろいろな形があるんだなと思いました。
このスタッフの場合は、すぐに手を出さずに待ったことで、お子さん自身の「できた!」に出会えています。
待っていた時間も、結果的に自分の喜びになって返ってくるんですね。
それから、私も待つことを、もう少し自分なりに楽しんでみたくなりました。
こんな「待ち方」を試してみた

夜21時以降は「おやすみモード」にする
まずは、相手からの返信を待っているときの過ごし方を変えてみました。
今までは返信がくるかもしれないからと、寝る直前まで連絡が取れるようにしていたのですが、その時間を前倒ししてみました。
音やバイブレーションが鳴らないだけで、スマホを気にしながら過ごさなくていいのが心地よかったです。
少しずつですが「今は見なくても大丈夫だよ」と、自分に許可を出せるようにしました。
作業待ちの時間は、その場から離れる
パソコンの作業で待ち時間ができたときは、パソコンの前を離れ、スマホも持ち歩きません。
台所に移動し、一服の時間を始めます。
我が家では、飼い主が動くと、愛猫も連動するかのように立ち上がることがあります。
「ちょっとだけ休もうよ」と思ってくれているのかは定かではありませんが、結果的に猫とふれあう時間までできました。
仕事に戻るころにはパソコンの処理も終わっていて、なんだか得した気分です。
AIに聞く前に、自分なりの答えを出す
新しいアイデアや、思い出せない曲のフレーズなど、仕事でも日常でも、私を支えてくれるAI。
頼もしいし、聞けばすぐに答えが返ってきます。
でも最近は「自分の答えが出る前に、AIに答えを求めていないかな?」と思うようになりました。
映画を観たあと、自分の感想を言葉にする前に、SNS上の誰かのつぶやきを見て「そうそう、私もそう思った」と納得してしまう感覚に、少し似ています。
だから、まずは自分で考えてみる。思い出せない曲も、少し記憶をたどってみる。
使わないのではなく、自分の答えを待ってから使うひと手間を挟んだだけで「私、こんなことを考えてたんだ」という発見が増えました。
AIとのやり取りも少しずつ減り「何度もやり取りして疲れたな」と感じる日も、なくなってきた気がします。
待っているのに、自分の時間が戻ってきた

待つ時間を自分のために使っていくことで、誰かからの連絡や周りのことを気にせず過ごせる時間が、少しずつ戻ってきました。
もちろん、いまだに心配になれば連絡をチェックしてしまう日もあるし、無意識のうちにネットサーフィンをしてしまう日だってあります。
それでも以前より「今は待っていていい」と思えるようになりました。
焦ってしまいそうになったときには、お茶を淹れる時間を思い出します。
お湯が沸くのを待つ。茶葉が開くのを待つ。少し冷めるのを待つ。
いくつもの「待つ」が重なっているはずなのに、心地よいと思える時間です。
すぐに答えがでなくてもいいし、すぐに返事をしなくてもきっと大丈夫。
そんなふうに私も、自分の時間を少し待ってみたいと思います。
関連記事:マインドフルネスという休憩のかたち
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